エクスタシーは違法です。合衆国麻薬取締局はこの薬物を「目録I」、すなわち医療での使用が認められない危険な物質として分類しています。他の目録Iの薬物には、ヘロインやLSDなどがあります。エクスタシーの所持、販売、製造に対しては、25万ドルから400万ドルの罰金が課せられ、4年以上、終身刑に至るまでの懲役が言い渡されることがありますが、それは所持している薬物の量によって変わってきます。
悲しむべきことですが、エクスタシーは現在若者の間で最も人気の高い薬物のひとつです。国連薬物・犯罪事務局によると、エクスタシーの使用者は世界全体でおよそ900万人に上ると推計されています。その大多数が十代の若者や20代前半の人たちです。
エクスタシーにアルコールを混ぜ合わせると非常に危険で、命にかかわることさえあります。エクスタシーがオールナイトのレイブ・パーティーやダンスクラブで乱用される「クラブ・ドラッグ」となって以来、緊急医療室に運び込まれる人々が12倍以上に増加するなど、この「デザイナーズ・ドラッグ(合成麻薬)」の被害は広がっています。ニッキーは、レイブ・パーティーに行く多くの人たちと同じように、自分の問題から逃れ、楽しい時間を過ごそうと、何人かの友人たちと一晩中パーティーを開くことを計画しました。友人のひとりが、車の中に液体のエクスタシーのボトルを持っており、皆でそれを飲もうということになりました。その薬物は、すぐに全員に回されました。その後ニッキーはひたすら踊り続けましたが、それは普段の限界を遥かに超えていました。後に、友人のひとりが警察の調べで「ニッキーはもう感覚がなくなっていた」と供述しています。
次の朝、ニッキーは死にました。死因は薬物(エクスタシー)中毒でした。
「自分にはそんなことは起こらない」とあなたは思うでしょう。そうかもしれません。しかし、本当に自分の命を運に任せたいですか?
「レイブ・パーティーで、エクスタシーを死ぬほど飲んで、何時間もの間『俺はオレンジだ、皮をむかないでくれ! 俺はオレンジだ、皮をむかないでくれ! 』と繰り返している人を見ました。自分はハエだと思い込み、ずっと窓に頭を打ち付けている人もいました。」 リズ