覚せい剤

覚せい剤の成分は?

結晶状覚せい剤の密造所

日本で乱用されている覚せい剤のほとんどがメタンフェタミンです。メタンフェタミンは、コカインのように植物から作られたものとは異なり、合成された「人工」の化学物質です。

メタンフェタミンは通常、密造工場でさまざまなタイプのアンフェタミンやそれに類する化合物を用いて製造されますが、効果を増すために他の化学物質が混ぜられています。この薬物の製造には、多くの場合ごくありふれた風邪薬の錠剤が基礎原料として使用されます。メタンフェタミンの「料理人(製造者)」は、その種の錠剤から活性成分を抽出し、さらに薬物の強度を高めるためにバッテリー液、浄水管の洗浄剤、ランタンの燃料や不凍剤といった成分を混ぜ合わせます。

こういった化学物質には、爆発を起こす危険性があります。またメタンフェタミンを製造する人たち自身が薬物の常用者であり、周囲の状況に不注意であることから、原材料を調合する際にしばしば爆発を起こし、ひどい火傷を負ったり、死亡したりすることもあります。こういった事故は近隣の人たちにとっても非常に危険です。

また、こうした密造所からは有害な廃棄物が大量に発生します。メタンフェタミン1kgを製造すると5kgの廃棄物が出ます。この廃棄物にさらされると、身体が汚染され、病気になることもあります。

「生活保護の給付金は、覚せい剤を買うにも息子を育てるにも十分ではありませんでした。それで借りていた家でメスをつくることにしたのです。有毒な化学物質も冷蔵庫に保存しました。そういった毒物が他の食ベ物に染み込んでいくのも知らずに…」

「3歳の息子にチーズを食べさせていた時、自分が毒入りの食べ物を息子に与えていることには気付いていませんでした。覚せい剤のせいであまりにハイになっていたので、息子が死にそうになっているのに気づいたのが、12時間も後のことでした。でも、あまりにハイだったので、10キロ離れた病院まで、息子をどうやって連れて行くかを考えるだけで、2時間が過ぎました。救急処置室に着いた時には、息子は死んでいました。死因は、致死量の水酸化アンモニウムの摂取でした。それは覚せい剤をつくるのに使われる薬物のひとつでした。」 メラニー